子連れ出勤を楽観視しない、悲観もしない

はじめて、子連れ出勤を受け入れることにした。

「子連れ出勤も大歓迎」と代表は言ってるけど、わたしも、子連れインターンを決めた新スタッフの歩さんも、「子連れ大歓迎です!」と言えるほど、このことを楽観視していない。
(※代表ごめん、ディスってないよ。いつも寛容にオーケーしてくれてありがとう〜!)

子どもを大人の世界に付き合わせてしまうことの困難さは、無視してはいけないと思う。同伴で幸せで居られるのは生後6-8ヶ月までで、ハイハイしだしてから親子の距離感は変わり、子どもは子どもの世界を作り出す。

また、仕事は(およそ)コントロール可能だが、子育てはコントロール不可能だ。子育てが始まり、自分のやろうと思うことがことごとく中断されて「ああ、自分の時間は自分の時間ではなくなったのだ」とハタと気がついたお母さん、お父さんは多いと思う。コントロールをしようとしない豊かな余白を、職場のなかに作り出しながら、かつ、大人が大人として集中して働ける環境もつくっていく必要がある。

面談を進める中で、ずっとD×Pのそばに居てくれた歩さんとなら一緒にその環境を創っていけそうだ!と思った。だからはじめての子連れ出勤にチャレンジすることにした。

本来、働くことと暮らすことって表裏一体だ。だから、こどもの世界にも寄り添いながら、大人が自分らしく働くことってできるんじゃないか。そう思って、楽観視はしてないけど悲観もなく、「うまくいかせるぞー!」という気持ちで初日を迎えた。

そして迎えた当日。

偶然、事務所に来ていた高校生のしんめい君が、にこやかに初対面のあかちゃんを抱っこしていた。親戚のお兄ちゃんのようだった。しんめい君は、高校生コワーキングのメンバーでこの5月からD×P事務所に出入りするようになった男の子だ。背が高く大人びたしんめい君の小脇に抱えられて、満面の笑みをこぼす小さな人。

この光景を見て、ちょっと泣きそうになった。ものすごい光景だった。

しんめい君は、D×Pに雇用されてるひとじゃないからなのかな。だから、気がつかされたものがあった。多様な人がいて、多様な働き方や生き方がそこにあれば、余白が生まれる。子どもと大人は分離せず、もっと、もっと、いっしょにいられるんじゃないか?もっと、D×Pにまつわるいろんな人が、D×Pのオフィスを構成できたらいい。ちいさな街のように。


フルタイムで働ける、制約条件のない人を雇うのって簡単だ。でもそんなひと、もはや今の世の中にいるんだろうか。副業したい人、介護や育児をしながら働きたい人、病気とともに生きたい人、突出して苦手なことがある人、趣味に時間をかけたい人、様々だ。レギュレーションのない人を求めるなんて、組織側の甘えじゃないか。ひとりひとりがレギュレーションを持っていて、ひとりひとりの望む働き方や生き方があるはずだ。D×Pとの距離感ももっと千差万別でいい。

今回の子連れ出勤は、まだ試行錯誤中だけどひとつの解にすぎない。歩さんとお子さんふたりの個性があったから、実現したものだと思ってる。いまはまだ全員に適用できる状態じゃない。

でもいつか、誰に対しても「歓迎!」と言いたい。言える組織でありたい。それが自然な気がするから。子連れに限らず、どのレギュレーションにもこたえうる組織を、個々人と一緒に作りたい。個人だけで作るのが無理なように、組織だけでつくるのも無理だ。お互いがお互いの気持ちを真摯に出し合える関係性を前提にして、共に創りたい。

最後に、歩さんが子連れ出勤について調べてくれたので掲載して締めたいと思います!


子連れ出勤事例 サマライズ

written by Ayumi IKEDA

ソウエクスペリエンス事例
・スタッフ約30人中9人が子連れ出勤実践。2人は常時、7人は状況に応じて(男性もいます)
・事前承諾不要
・保育園、幼稚園までのつなぎとして推奨
・一画に土足禁止エリアを設け、プール、おもちゃ、子供専用パソコン設置。ただし子ども専用エリアではない。
・安全面は、机の角を緩衝材で保護する、子どもの手が届く所に刃物を置かない、電源・スイッチ類を段ボールで覆い隠す、など実施
・電話の際は大人が離れる
・スタッフが甘くて困る笑
・子供の泣き声が気になった(今は皆大丈夫なようです)
・0歳児は寝ているので子連れ出勤向け

ザッパラス事例
・子供を連れて仕事をしていい専用の部屋「Mother’s Working Room」
・常時子連れはいない
・管理は親の自己責任。決まりも作らず、社員のモラルに任せている。

モーハウス事例
・本社20人中5人が働きやすいシフトで子連れ出勤
・子連れ出勤といえども、会社は“仕事”をする場所。「子どもは泣かないようにしてほしい」とお願いしている。泣くのは不快だから、それは早く取り除くことが必要。結果仕事を優先することにつながる。
・子どもが嫌いな人も許容できる子連れ出勤じゃないと社会性はないと思うので、それが可能だということを実証していければなと。

サマライズ以上です。
ゆるく始めてその都度調整というやり方をとっているなという印象です。

「通常、会社はコントロールできないことを排除する傾向にあるけれど、ソウは子供というコントロールできない“自然”を、ファジーに、いい具合に受け入れているよね」という言葉が印象的でした。


参考記事(入谷補足)

「子連れ出勤」に関心を寄せてくださっているみなさまへ(ソウ・エクスペリエンスBlog

職場に日々、子連れ出勤 企業と母親の本音(NIKKEI STYLE

職場に子どもがいる日常。子連れ出勤を実践するソウ・エクスペリエンスの働き方(fledge)

預けられないなら一緒に出勤!広がりをみせる「子連れ出勤」の今(fledge

ザッパラスは超先進的な子連れ出勤企業でした(ソウ・エクスペリエンスBlog

「子どもと一緒に出勤できます」 20年前から子連れ出勤を続ける授乳服メーカー「モーハウス」(kokocara